みなさんもご存じの通り、世界の短距離種目ではジャマイカの選手たちが活躍しています。また、決勝に残っている選手のほとんどが黒人選手でした。では、なぜ黒人の選手は短距離走が速いのでしょうか?みなさんもそれぞれ考えを持っているかと思いますが、私は黒人の速さの秘密は、その国の音楽文化が深く影響を与えているのではないかと考えています。黒人が速いといっても、いつも決勝に残るのはアメリカ系黒人とジャマイカの選手ばかりです。そしてその人たちに共通していえることは、生活の中に常に音楽があるということです。アメリカ系黒人であれば、ヒップホップやラップなど、ジャマイカであればレゲエなどになります。これらの音楽の特徴は比較的ゆったりとしたリズムの中に強いアクセント(DownBeat)が入っていることと、そのアクセントの裏にあるアクセント(AfterBeat)があるということにあります。実はこの音楽的特徴に短距離走を速く走る秘密が隠されているのです。
「BEATRUNNNING」は、黒人やジャマイカの選手が持っている能力を体感できる、全く新しい発想のトレーニングです。「音に合わせて身体を動かすなんてリズムトレーニングだろ!」と思う人もいるかもしれませんが、「BEATRUNNING」の本当のポイントはそこではありません(もちろんリズムも大切ですが…)。「BEATRUNNING」は目的に応じた音(楽曲)を使うことで、動きの中のタメ(間)をコントロールするトレーニングです。タメを自分の思うように作ることができ、身体をコントロールすることができれば、走るときの出力があがり、必ず速く走れるようになることでしょう。
「BEAT RUNNING」では「走り」の練習を次の2つのポイントを意識して練習方法を考えました。
Point①
地面をとらえるタイミングを一つのビート(DwonBeat)とし、質の高い反発をもらう。
地面の接地(とらえ方)が上手な人は地面からの反発を上手にもらっています。それは言い方を変えると身体の使い方が上手か下手かともいえます。よりよい身体の使い方を感覚的に覚える、その感覚を音から身につけるというのがBEATRUNNIGの特徴です。音がないと、それぞれのタイミングで走ったりドリルをしたりします。タイミングの悪い人はいつまでたっても上達しません。音楽のジャンルはHIP-HOPやレゲエを使います。演歌ではリズムが遅く、アクセントが弱いので身体は反射的に反応してくれません。ユーロビートのような速くて軽いリズムでは身体がその速さに反応できずに硬直してしまいます。ヒップホップやレゲエのリズム(ビート)こそ、短距離に合う身体使いを体感でるのです。特に小・中学生のように身体が十分に発達していない段階では、このような身体づかいのトレーニングを練習の基本に据えることで、その他の練習にも効果がでてくるでしょう。そして、身体の使い方を知る、質の高い反発をもらうことで飛躍的にパフォーマンスが向上することでしょう。
Point②
質の高い反発をもらいながら、リズムを崩さずに走り続ける。
音楽のビートに乗って、リズムに合わせて走ることで、リラックスの中に身体を動かすことが感覚的にできるようになります。音に合わせる意識を持つだけで、身体が無意識に締まって、どんどん前へ進んでいく。つまり…ビートを体感できれば、身体は躍動的に弾み速く走ることができるようになるのです!